フェノール豚レインのチラシの裏

なんか書き散らかす

きららMAX2021年12月号読み切り「おつよん」について書いてみた

よく来たな、おれはフェノール豚レインだ。おれは毎日すごい量のきらら作品を読んでいるが、誰にも紹介するつもりはない。

 

・・・と書き出してみたものの、今回は逆噴射構文は使わずに解説しようと思います。(※ネタバレあり)

 

 

 

きららMAXの2021年12月号に掲載された読切の「おつよん」を読んでみましたが、題材があまりにもニッチすぎてるのでネタがわからない人も多いかなー?って思って甲種危険物取扱者を持っていて、一応実務経験もある筆者が解説記事と、ついでにレビューもしてみようと思います。

とてもじゃないが、逆噴射構文でメキシコ成分を添加する余裕などない。

 

p163
タイトル
乙4、危険物取扱者乙種四類の略
消防法における危険物のうち、可燃性液体(第四類危険物)を取り扱うための資格。
この話ではタイトルの通り、第四類危険物をメインに話が進む。
危険物取扱者には甲種、乙種、丙種と分類されていて、甲種は全ての危険物を、乙種は1~6類の各危険物を、丙種は4類のなかでガソリン、軽油、灯油など一部を取り扱える。
甲種は下記条件で受験資格を得る。
1.乙種に合格後、実務経験を2年積むか乙種を4種類保有する。
2.大学等において化学に関する学科を修めて卒業する。
3.大学等において、化学に関する授業科目を15単位以上取得する。
4.大学院の化学系専攻で修士・博士の学位を授与される。(筆者はこれに該当)
大体は乙種の受験から始めることになる。
その中でも、受験者数が多いのが危険物取扱者乙種四類。


1本目
3コマ目
腕章の「還」は第二類危険物(可燃性固体)は還元性を持つ(酸化されやすい性質)という意味。
胸の消火器のバッジは第二類は水による冷却消火が可能なことを表している。
4コマ目
第二類危険物は先述の通り、可燃性固体。
引火性固体(固形アルコールなど)、金属粉等が該当する。

 

p164
2本目
2コマ目
第五類危険物は自己反応性物質、分子中に酸素を持っている物質など(ニトログリセリン、ニトロセルロース等)が該当。
おっとりした見た目だけど、実は結構ヤバい。

 

3本目
2コマ目
第二類、第五類は可燃性。
4コマ目
第一類危険物は酸化性固体、物質そのものは燃えないが、助燃性(物が燃えるのを助ける性質)を持つ。
第六類危険物は酸化性液体、第一類と同様に助燃性を持つ。

 

p165
4本目
1コマ目
(ここ色分けの元ネタがわからないので、詳しい人がいたら解説ください)
4コマ目
消防法では運搬等の規則も設けられていて、その一つが混載禁止。
第一類と第六類の組み合わせ以外にも混載可能な組み合わせが規定されている。

 

5本目
3コマ目
第四類危険物は引火性液体。本作品の主役。

 

p166

6本目
1~4コマ目
ネタの通りで危険物取扱者の免状は受験した都道府県の知事が交付する。(筆者は埼玉県)

 

7本目
2~4コマ目
ジエチルエーテル
CAS RN:60-29-7
分子式:C4H10O
沸点:35℃
引火点:-45℃

二硫化炭素
CAS RN:75-15-0
分子式:CS2
沸点:46℃
引火点:-30C

第四類危険物には特殊引火物、第一石油類といった分類があり、各分類によって指定数量(保管や取扱に対する目安の数量)などが変わる。
特殊引火物はその中でも指定数量が少なく、危険性が高い分類。
ヘアピンの「Ⅰ」は危険等級を表している。数字が小さいほど危険性が高い。
ジエチルエーテルは水溶性のため水着、二硫化炭素は非水溶性のため体操着。

 

p167

8本目
3コマ目
アセトン
CAS RN:67-64-1
分子式:C3H6O
沸点:56.5℃
引火点:-20℃

4コマ目
ガソリン
CAS RN:8006-61-9
分子式:特定されない
初留点:39℃
※ガソリンは単物質ではないため。

 

9本目
1~4コマ目
ガソリン、アセトンは第一石油類に属する。
ガソリンは着色されているためオレンジ色で、JIS規格にも定められている。


p168
10本目
筆者はそろそろ取得後10年が経過しそうなので、書き換えないとなーと思ってるけど、めんどくさくてやってない。

 

11本目
4コマ目
採光窓を設置する理由は、十分な明かりを確保し、危険物の取扱いの誤りや、明かり代わりのライターなどの使用で火災を防ぐため。
他にも、保安距離という製造所等から住居などの施設に被害が及ばないように定められた基準がある他、保有空地という製造所等が火災になったときに延焼を防ぐためや消火活動を行うための空地を設けるよう定められている。

 

p169
12本目
2コマ目
指定数量の10倍というのは、各危険物に定められている指定数量で実際の取扱数量を割り、算出された数量が10倍であるという意味。
このネタでは触れられてないが、製造所等では換気設備の設置も義務づけられている。3、4コマ目の煙突みたいなものが排気口になっていて、強制的に換気する仕組みになっている。

 

13本目
再交付は避けたいなぁ・・・

 

p170
14本目
3コマ目
第四類危険物(特に非水溶性)は比重が水より軽い物質が多く、水で消火しようとすると火面が広がってしまい、逆効果なので、泡消火器や乾燥砂などで窒息消火するのが良い。
家庭で油火災を起こしてしまった場合の初期消火は、鍋の蓋などで窒息消火するか、備え付けの消火器を使用すること。

 

読んだ感じ、ネタや絵に初期萌え4コマ味を感じて古臭さすら感じたので、きらら向きなのかな?って思ったけど、

題材が危険物と尖りに尖りまくってるので、きららMAX掲載には相応しいかなとは思いました。

第三類危険物(自然発火性及び禁水性物質)が出てこなかったのは、素行が悪すぎて停学喰らってるとかそういうやつかしら。

 

[参考文献]

一般財団法人 消防試験研究センターホームページ

https://www.shoubo-shiken.or.jp/

 

図解でわかる危険物取扱者講座

https://zukai-kikenbutu.com/

 

厚生労働省 職場のあんぜんサイト

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/index.html 

 

危険物取扱者保安講習テキスト

平成31年度版 危険物の保安管理 一般編